サウナマシーン寺田

元サラリーマンによるサウナ絵日記

単発サウナレビュー ホテルマウント富士 ~冥界に近付いた瞬間~

 

 5月中旬となり、外気浴シーズン真っただ中の昨今。この機会を逃すまいと、本日は外気浴に定評がある某山梨県内のサウナを訪ねることにした。サウナの名前は「ホテルマウント富士 山梨・山中湖の宿泊ならホテルマウント富士【公式サイト】 (mtfuji-hotel.com)」だ。サウナイキタイで山梨県内のランキング1位のため、マジョリティに属することに抵抗のある根暗な私は敢えて行くことを避けていたが、今回外気浴にかける熱い想いで訪問を決意。

 

 12:30にサウナ友達と駅で合流、車で出発。昼食は山梨のほうとうの名店・小作で食べる予定だったが、急激な空腹のアクシデントが有り、駅近のラーメン屋に直行。頂いたのはチャーシュー麺(1000円)。チャーシューの端っこの醤油タレの味が濃い部分までが入っていて美味しい。ラーメンを食べているとき、調味料そのままの味をたまに感じると何故だか幸せな気分になる。

 

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昼食に食べたチャーシュー麺。昔ながらのベーシックな醤油味が優しく口内を支配してくれる。こういう澄んだスープの様なマインドで生きていきたい。

 昼食後、改めて高速に入り出発。この日の中央道はだいぶ空いていて、まるで車の試験場を走っているような感覚。よく考えれば緊急事態宣言中なので、本来あるべき姿である。一応社会人の一員として誠に申し訳なく思う。車を1時間少し走らせると山梨県に到着。山中湖付近は標高が高く、木々や植物の種類も平地とは違うものが目立つ。景色の移り変わりに非日常感がくすぐられる。山中湖に突き当たり左折するとほどなくして「ホテルマウント富士」の看板あり。看板には”TOKYU”の文字。東急グループの守備範囲の広さに脱帽しつつ、急斜面を車で登り、山中湖が下に見える様な高さになったところで到着。聞けば「ホテルマウント富士」の標高は1100mだそう。確かに言われてみれば耳がキンキンする様な気がする。

 

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あいにくの霧で山中湖はハッキリと見えなかった、、

 ホテル自体はかなりしっかりとしているもの。歴史と伝統を感じる作りだが、中身の装飾は綺麗にしてある印象。山梨の旅館といえば、石和温泉のバブル時代から時間が止まったかのような内装のホテルが思い浮かぶが、ここは内装もきちんと現代風にアップデートされている印象で非常に好感が持てる。機会があれば泊まってみたいレベル。(宿泊料、かなり高いみたいだけど、、)

 

 フロントでボーイの方に入浴料2200円を支払い浴場へ向かう。浴場は2階の展望露天風呂(風呂(温泉)のみ、サウナなし)と、地下1階の大浴場(風呂(温泉)あり、サウナあり)の2種類がある。展望露天風呂は、入浴時間がPM4時までとのことで、急いで向かう。

 

 展望風呂のロッカーは和だんすを模したようなもので、持ち物をしまうのが何かうれしくなって気分が上がる。浴場にはいるとオーシャンビュー、、ではなく、山中湖ビューが視界いっぱいに広がる。(今日は霧のためほとんど何も見えなかったが) 天気の良い日は非常に壮観な景色を拝むことが出来るだろう。浴場入り口を開けるといきなり露天風呂になっていて、シャワースペースも屋外にある。露天風呂に浸かり、地下1階のサウナに備え身体を温めながら「晴れていたら伊藤のDHC赤沢温泉伊豆高原のスパリゾート | 伊豆高原 赤沢温泉郷【公式】 (izuakazawa.jp) レベルの景色かもしれない」という会話をした。

 

 身体が温まったので、地下1階のサウナへ向かう。更衣室入り口前の廊下にはサウナイキタイのポスターと、「ホテルマウント富士」オリジナルのサウナハットのビラが貼ってあり気分が上がった。サウナハットは富士急とのコラボのものがある様だ。サウナもとらえ方によってはアトラクション的な要素もあるので、納得する部分がある一方で、東急と富士急行の関係性が気になった。(お客さんがバッティングしないから円満な関係なのかな?) 浴室の前にサウナマットの山が置かれていて、ここから1つピックアップしサウナ室の中で使う仕様とのこと。

 

 たぎる気持ちを抑え、急いで服を脱ぎ浴場内へ。非常にシンプルな設計で、メインの暖かいお風呂が1つ、水風呂が天然水かけ流しの水風呂とバイブラの水風呂の計2つ、ロウリュサウナ1つ、ミストサウナ1つ、露天風呂1つの構成。水風呂に手をつっこみ水質の確認を行う、、当然わからない。だが、確かに感じる澄み切った感覚。これには期待をしてもしきれない。足早にシャワーを済ませ、いざロウリュサウナのなかへ。

 

 ロウリュサウナ室の構成はストーン式のストーブが1つ、段はMAX2段で、キャパは15名程度。温度計は約90℃を指している。今日はお客さんの数が少なく、スムーズに座りたい位置(サウナストーブの真横 一番熱い場所)を確保することが出来た。サウナ室にはテレビが無く、照明も暗めのため、しっかり集中して身体を温めることが出来た。また、木材の良い香りが充満していて非常に心地が良い。優等生系のサウナの様で、安心して目を閉じようとしたとき、事件が起きた。

 

 ジョバババババ!という音。ストーブがライトで照らされると、凄まじい量の水滴がサウナストーンの上のノズルから垂らされた。これがこのサウナのオートロウリュなのだ。そのあまりの勢いの良さに思わず爆笑してしまった。そのほかの要素がお上品なものばかりなだけに、水の勢いの豪快さがシュールに際立つ。量が多いだけに、発せられる蒸気もオートロウリュとは思えない量のもの。すっかり熱々に蒸され、水風呂へと向かう。

 

 水風呂は前述したように2種類あり、個人的には天然水水風呂がお気に入りだった。この水風呂、なんと飲むことが出来る。富士山の付近はあの有名な「しきじ サウナしきじ (saunashikiji.jp)」にはじまり、飲める水風呂を備えた施設が多い。これはいちいち水を飲むために脱衣所へ行かなくていいので本当に助かる。個人的には頭に水をかけた際に口も周りについた水を舐めるのが好きだが、せっかくなのでがぶがぶと頂く。味がわかるほど敏感ではないが、硬度が高いのだろうか? 身体を疲らせると水が身体にまとわりつく感覚に陥る。富士の天然水というワードのパワーは凄まじく、長時間浸かっていると心が清められた様な気がした。

 

 いざ売りの外気浴へ。露天風呂への扉を開けると、異次元の空間が広がっていた。底が水色の石造りの湯舟の周囲には、綺麗に手入れされた植え込み。背後には山々が連なり、日の光が差すと露天風呂に反射してキラキラと輝く。耳をすませばウグイスの鳴き声。あまりにも自然と調和した美しい空間に「ああ、人間は死ぬときにこういう景色をみるんだな、、」という思いが浮かんだ。景色をものに喩えるとすれば、冥界という言葉がふさわしい。この世の煩悩から解き放たれて、極楽浄土に行くときにはこんな景色が見えるるのだろう、、

 

 外気欲スペースには目転び用のベッドが2つ、ととのい椅子が5つほどありキャパは十分。外気欲と同時に森林欲も楽しむことが出来る申し分の無い空間。流石は甲斐の国山梨県ランキング1位の実力に恐れ入った。

 

 外気浴を済ませると、ミストサウナの中へ。このミストサウナにも富士の天然水が使用されている。体感温度は40℃ぐらいで、長時間居ても疲れない設定だった。セットの間にこのミストサウナを挟むと入浴にバリエーションが出そうだと思ったので、次回はもっと活用したいと思う。浴室を出ると更衣室にあるマッサージ機(無料)へ直行。しっかりもみほぐされ、完全にスイッチが切れたとことろで帰路についた。

 

 「ホテルマウント富士」は外気浴で自然と調和することが出来る数少ないサウナだ。標高が高いことから、夏に行っても外気欲を楽しむことが出来そう。刺激感は無い。自然に温まり、自然に冷却される。そして、自然と調和することで絶頂を迎える。ただし冥界に誘われないように要注意。

 

■評価

サウナ室     ★★★★☆ 90℃

水風呂      ★★★★☆ 16℃ 天然水

暖かい風呂    ★★★☆☆ 40~42℃ 温泉

ととのい場所   ★★★★★ 7席 森林浴可

ホスピタリティ  ★★★★☆ マッサージ機無料