サウナマシーン寺田

元サラリーマンによるサウナ絵日記

退職が連鎖してしまった話と、その理由の考察

 

 退職の意思を会社へ示してから2週間。ちょっとした事件があった。懇意にしていた先輩、そして同期の計2名が連鎖的に退職することになったのだ。

 

 先輩はずっとやりたかったが手を付けられなかった会計士の資格取得、同期は別の成長環境が期待できそうな大手企業へ転職し、並行して税理士資格の取得を目指すという。

 

 どちらにも共通しているのは、最終的には何かしらの資格を取り、手に職をつけて生きていこうという意思決定だ。加えて私も退職後は興味のあった教育系、或いは心理職系へのキャリアチェンジを行いため、関連資格を取ことが出来る大学院へ進学したい考えだ。

 

 なぜ、私を含む若手達は折角必死に就職した大手企業を退職し、手に職系の仕事に行こうとするのか。理由は大きく分けて3つある。

 

1つ目は新卒入社時の自己分析の甘さによるミスマッチ

2つ目は会社の内部状況・将来性に対する危機感

3つ目は若い時間の有限性の認識 だ。

 

それぞれ以降で細かく言及したいと思う。

 

 まず1つ目の新卒入社時のミスマッチについてだ。私は新卒入社をするとき、嫌でも周囲の目が気になった。新卒の就職活動において社会経験の無い学生が意識できる点は知名度、福利厚生、平均年収、、、などのいかにも定性的な価値観ばかりだ。最近は、ここに環境意識(SDGs)などの観点もプラスされているのだろうか?(笑)

  名前の響きがいかにカッコイイ企業に就職できるかということが新卒の就職活動における勝ち負けの指標となる。その結果、運が良い人は会社に満足して長く働くことになるし、不運な人は入社前とのギャップに嘆き続け、周囲のうまくいっている同期と自分を比較し、ドツボにはまっていくことになる。

  また、大学生にいきなり「自己分析をして適社を探しなさい」などと言っても不可能だ。大抵の学生は社会活動との関係が限りなく薄い部活動やサークル、バイトでの実績を志望理由に結び付けることになる。そして自己分析の方法も、友人や親に良い点、悪い点を言ってもらうという極めてアマチュアなやり方で実践されてしまうことが多い。

 このようなやり方では正確な自己分析はできないし、そもそも自分がどんな仕事に向いているかは社会に出て嫌な思いもしながら本気で働いてみて、初めて分かるものだと思う。

  定性的な価値観と曖昧な自己分析で決定されてしまう新卒入社は非常にギャンブル性が高いもので、一部の人にミスマッチが起きることは当然だと言える。

 

 次に、2つ目の会社の内部事情や将来性についての価値観に

ついてだ。これは当然のことだが、その会社が本当に職場環境が良いのか、本当に将来性があるのか、ということは入社してみないと分からない。これは各社個々の話になりがちなので私の実体験ベースで考えてみようと思う。

 まず職場環境について。これは本当に私に合わなかった。以前に以下の記事に書いた通り、私の会社の旧態依然ぶりというか堅さは異常なものがあった。とりわけ私の所属部署(生産系)は特に重苦しい雰囲気が漂っていた。

 

indianspice.hatenablog.com

 

 私の生産系の部署(購買)では、「営業の要望通りに生産出荷が達成出来て当然。

どんなに材料市況のバランスが崩れようが、営業の要望は絶対。」という価値観が常に付きまとっていた。

  このような状況では失敗など許されない。チャレンジには毎回心臓がバクバクするようなプレッシャーが付きまとった。それは決して良い緊張感では無かった。

  上司は先が見えた年配社員には期待せず、若手にばかり挑戦を促した。毎日定時で帰宅している他部門の同期がいる一方で、叱咤され22~23時過ぎまで残業する生活には流石に嫌気がさした。

 また、自分を犠牲にして働いても会社の将来性には期待できなかった。詳しくは上記の過去の記事に書いたが、そもそもの体制が過去に固執していたので、新規事業が生まれる機運は無かった。

  ただし、既存事業のなかにも「金のなる木」と俗に呼ばれる事業があり、その関連の仕事をしている社員は皆満足度が高い様だ。現にその事業を担当している若手で退職した話はあまり聞かない。なので一概に悪い会社という訳ではないということは言っておきたい。(ちなみに私は「負け犬」事業の担当だった。この事業分類については

こちらを参照してください。経営学基礎用語集PPM (rnac.ne.jp) )

  以上が会社に危機感を強く感じた理由になる。努力をしたところで報われる見込みが今後無く、浪費に終わることを4年すこしの勤務で悟り、「こんな状態で生きても幸せにはなれない」と思ってしまった。

 

 最後に3つ目の若い時間の有限性についてだ。30歳にもなっていない人間がこのトピックを語ったら一部から鼻で笑われるだろうが、私は25歳を過ぎてからこれを実感する様になった。

  前項(2つ目 会社の内部状況・将来性に対する危機感)について言及しているときにも触れたが、新規事業が起きる可能性が限りなく低い会社で、「負け犬」事業を担当するということは、極論を言うと時間を捨てることと同義である。(もちろんお金は貰えるが、、)成功体験を積むことができる機会は非常に限られる。

  1~2年忙しく働いていると、どうやら時間は光の様に過ぎていくことが分かった。長期休みと長期休みの間隔(3~4か月)が異様に短く感じる感覚に恐怖を感じ、このままやりたいことが出来ず、大した成長も出来ず老いていくのか、、と考えると逆に大きな会社に属し続けることがリスクに感じてしまった。

  結果、有限な若い時間を、やりたいこと・向いていることに費やす決断をした。会社に依存することの怖さを思い知り、手に職に結び付けたい思いで資格取得の方向で動くことにした。

 

 上記の3点が、今回の若手の退職連鎖につながる大きな理由と言える。

 この決断の結果、それぞれの人生が実りのあるものになることを切に祈りたい。数年後に何かを達成した状態で皆でまた集まって、笑顔でお酒を飲める日がくることを信じ、いまは目先のことをコツコツとこなして行きたいと思う。

 ※今度お酒を飲む際は、会社のノリは抜きで、、